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01.「しだれ桜|Shidare Zakura ~ 邦楽2.0とは ~」

言葉で表現するのは難しく不言実音と想って音楽を描いていた僕にとって
この数年の心の冬にほとんどの席で無口を決め込み
ブログにいたっては「始めたら辞められない」不自由さや重みさえ感じるものでした
今思うと不思議ですが、話せる氣分に中々ならないんですね。

邦楽2.0の誕生によって僕自身に変化がありました。
『邦楽2.0』という言葉が生まれる程に、自らが描く”新しい日本の音楽の姿”が心の雪解けを促し、言葉のあしどりは軽くなり、言葉でじっくり読み聴いて頂きたいと思える季節が訪れたのです。
或る意味で心の春到来です。

アルバム楽曲に対応した全11話の書ききりで連載していきます
味を占めたら過去のアルバムも同様に触れてみたいと思います。

今回は”新しい日本の音楽の姿”など、まあ大義風なテーマの作品ではありますが
あくまで一つの可能性の提案ですので
アルバムは軽い氣持ちで聴いて感じて頂ければと思います。



それでは「セルフライナーノーツ」”Japanese Guitar Song Book” 篇
第1話はアルバムの1曲目 「しだれ桜|Shidare Zakura」 の楽曲解説と
先ずは ”邦楽2.0”について簡単に触れてみたいと思います。

まずは、すでに何回連呼したか分かりませんが、この『邦楽2.0』と名付けられた型は簡単に申し上げると「遊びのルール(仕組み)」のひとつです。

逆説的に例えれば、ロックの型から外れるとそれはロックには聴こえない音楽になります。

僕もジャズの進化系を目指して”thirdiq(サーディック)” というプロジェクトで2008~10年に作品をorigami PRODUCTIONS からリリースしていましたが、ギターのスタイルとしては、どんどんジャズの型から外れていき、しばしばアバンギャルドな演奏をしていると誤解されたりしました。
ジャズ等そのジャンルならではの良さというのは、その型の中にあるのだと、『邦楽2.0』の仕組みを生んでみて今よく感じることができます。

それぞれのジャンルに触れる毎、それぞれ際立った特徴を持つ音楽の型として
究極的に洗練されていることにとても感動するようになり、楽しい音楽ライフでございます。
流行し、発展し続けていることが納得できるシンプルな身体的仕組みにまで磨き上げられているんですね。

型自体の次元で感動する様になると、ジャンルのこだわりなんて一層無くなり、むしろ全てのジャンルを心から楽しめる様になり、こだわり続けた先に全くこだわりのない世界が待っているとは。



型というのは、日本では武道、茶道、弓道などでよく聞く言葉です。
それぞれ道が違えど辿り着く境地は同じ地平で、とても日本的、禅的な性格を持つそれぞれの所作が道を進むにおいて重要視される意味も、”Japanese Guitar” を通じて感じるようになりました。

また、型を構成する要素もクリアになってくると音楽の楽しみ方がそれぞれマナーとしてあるのだと改めて納得しました。
昔はやみくもな型破りばかりでよく怪我をしました。。
マナーを守るって、ポジティヴに捉えたらみんなが楽しめる気持ちのよい状態や、空間を創れるんですよね。

最近はジャズのマナーを守って演奏することが今更ながら楽しいです。

それが講じて、”NJQ (Nippon Jazz Quartet)” なる、ジャズと『邦楽2.0』の融合プロジェクトも日本の素晴らしいジャズプレイヤー達と始めてしまいました。
曲は前述の”thirdiq” や “Conguero Tres Hoofers” で描いて来た曲や、この『邦楽2.0』から生まれた曲に取り組んでおります。ジャズ、サイコーです。


話は逸れましたが、色々な音楽形式の中で”邦楽の進化版” に聴こえる音楽を創る仕組みが『邦楽2.0』です。
古典邦楽の様々な仕組みと現代に僕が感じてきた音楽観が直線で結ばれ
その先にある音楽の姿を求めたら、結果こうなったみたいな。
”オリジナル”を追求した先に、”オリジナル”なんて無い境地に辿り着いちゃうような。
掘って尚、何も知らない自分に氣がつかされるばかりです。
無知と出鱈目からのスタートではありますが、この先色々な方々とこの『邦楽2.0』の可能性を拡げられたら楽しいだろうなぁとアイデアは増える一方です。
この仕組みの具体的な用法は曲を追う毎にお話しさせて頂きたいと思います。



さて、やっと本題です。。
”Japanese Guitar Song Book” は 「しだれ桜|Shidare Zakura」 からアルバムが始まります。京都に移って最初に描いた曲だったと思います。

京都は春、どこを歩いても必ずどこかで桜に出逢い、街はピンクに衣替えをし、気候はまだまだ冷えを感じますが気分から先に春にしてくれます。
各所様々な桜を巡り、時に全景を眺め、花弁一点の動きに注視し、移ろいを感じ、薫りに冬をさらわれていきました。
枝垂桜はさくらの中でもとりわけ色気のある桜で、柳のように揺れる艶っぽいあの色合いは、かつての邦楽者たちの心に陰音階を創らせたかもしれません。

僕はこの風になびく枝垂桜の揺れを曲のグルーブに表現したいと考えました。
この揺らぎに花の色合いからイメージされた旋律を導きだし、「短いさくらの季節」が儚く過ぎ去るスピード感と淡さを現代的リズムパターンの上で言葉少なめに歌うようなパートを加え、前述の桜の舞うパートとの二部構成を軸に曲に仕上げました。

『邦楽2.0』の最大の特徴は伸縮する ”間” の使い方です。
最初に出てくる桜の舞うパートは一応16小節のかたまりで捉えることが出来ます。
各小節毎に微細な”間”の伸縮がありますが、16小節毎に大きな”間”の伸縮が起こります。
この”間”の感覚ですが、これは正にお囃子のかけ声や宴会の一本締めに観られる日本DNAの成せる技と言えるのではないでしょうか。
葉から雫が一粒滴り落ちるその瞬間までの曲線を日本人感覚というのは自然に捉えているのかもしれません。


このような感じで、11曲それぞれの構成と背景をお伝えしてみたいと思っています。
本来音楽は、唯、聴いて心にグッとくればそれでよいものだと思います。
しかし一括りに音楽と言えど、それぞれに楽しみ方があり、それを知ることでより一層その音楽を深く楽しむことが出来ます。
ジャズなどは正に、それを知っていると楽しめる要素が何倍にも膨れ上がる音楽ジャンルだったりします。

この「セルフライナーノーツ」が音楽旅行をより楽しめるキッカケになれば幸いです。

次回は2曲目「纏う|Matou (Wear it)」についてとミュージックビデオ(MV)撮影について書きたいと思います。
お付き合い下さりありがとうございました。

現状、作品は音源配信のみとなっております。
CDのインサートには全曲の楽曲解説(日本語/英語)が封入してあります。
また古城理紗さんの、『邦楽2.0』グルーブを捉えた挿絵が描かれております。説明を読んで頂くよりもむしろ分かり易いかも?
CDの先行予約も受け付けております。是非下記へアクセスしてみてください。


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Conguero Tres Hoofers : http://www.cth-japan.com